2008.11.18(Tue)

(上毛新聞2008年3月3日付け「オピニオン21」に寄稿した記事より)
2008上毛新聞への寄稿記事より①
「家庭の台所が、地球の中心?」食の安全の問題が、最近、とっても叫ばれています。
そして、地球温暖化の話題も
毎日ニュースに上らない日はありません。
じつは、食の安全も地球の環境問題も、
その多くは家庭の台所がカギを握っているのだと思います。
何を選んで、何を買って、何を食べて、何を捨てるのか。
台所を中心とした家庭で、
どのようなライフスタイルをするのかで、
自分や家族の安全はもちろん、
地球温暖化も防げるのではないかと私は考えています。
もし、輸入食材メインの食事から
国産のオーガニックな食材に変えれば、
CO2の大きな削減になります。
なぜなら、たとえばアスパラガスを海外から空輸すると、
国産品に比べて輸送に使われる
エネルギーの量が圧倒的に多くなるため、
それだけCO2の排出量も多くなってしまうからです。
このような、食品の原産地から食卓までの輸送によって
排出されるCO2が多い場合を
「フードマイレージ(輸入食料の総量×輸送距離)が高い」と言います。
逆に少なければ低いというのです。
じつは、フードマイレージを意識して食材を国産にシフトすると、
そのCO2の削減効果はエアコンや冷蔵庫などの
買い替えによる省エネ効果よりずっと大きくなるのです。
そう、誰でも今すぐに始められる、
もっとも手軽な地球温暖化対策のひとつです。
今度、買い物に行ったときにスーパーで
食材の原産国を調べてみてください。
今私たちが食べているものの多くが、
輸入品だったのがわかると思います。
つまり、カロリーベースで食料の6割以上を
海外からの輸入に頼っている日本は、
フードマイレージの数値が世界でもっとも高い国で、
世界でダントツに地球温暖化に貢献していたのです。
国産のオーガニックな食材を選んで、
家族で一緒に料理を作って食べれば、
海外からの目に見えない危険な食品を買うより、
安全で安心なのは一目瞭然です。
しかも、現在4割弱しかない国内の食料自給率を上げ、
食料危機に備えることにもつながるのです。
もう本当にいいことづくめです。
強いて弱点をあげれば、少し値段が高いことくらいですが、
安全と環境を考えればまったく問題にならないレベルだと思います。
また現在、わが国では「食育」の大切さが言われていますが、
食育で一番大切なのは「家族で一緒にごはんを作って食べる」
ことなのではないでしょうか。
家族がひとつのテーブルを囲んで、
愛情いっぱいのごはんを一緒に食べて、
その日の出来事などを団欒することで、
親子のコミュニケーションや愛情が
「食」とともに「育まれる」のだと思うのです。
あらゆるものの安さと効率を追求して続けた結果、
生命を支える「食品」がどのような経緯で
生産をされているかも分からない工業製品となってしまいました。
そして今の「食の安全問題」と「地球温暖化の危機」に
結びついたわけですから、
家庭の台所からライフスタイルを見直してみませんか。
もしかしたら、台所が地球の中心かもしれませんよ。
*上毛新聞2008年3月3日付け「オピニオン21」に
寄稿した記事をそのまま転載していますので、
若干、時事的に連れを感じるかもしれません。
(ヨシダヤスアキ)
>EntryTime at 2008/11/18 23:37<