2008.12.16(Tue)

(上毛新聞2008年9月28日付け「オピニオン21」に寄稿した記事より)
2008上毛新聞への寄稿記事より⑤
当事者意識をもって毎日のように企業や政治の不正や偽装など、
儲けるために行なわれたウソが報道されています。
今年は事故米の転売など
食の安全性が大きく取り上げられました。
きっと多くの人が憤っていると思います。
「日本はいったいどうしてしまったんだ」、と。
私も、つい罪を犯した人や企業を
「何やっているんだ」と責めてしまいます。
「何を食べて、何を買えばいいんだ」と。
しかし、どんなに不正を責めても、
自分たちは被害者だと思って何もしなければ、
世の中は何も変わっていきません。
「バレなければ何をやってもOK」
「正直者が馬鹿を見る」
という言葉は、日本社会では昔からずっといわれ続けてきました。
日本社会の中には、
まじめにコツコツ丁寧にやっているお金儲けが苦手な人より、
ちょっとズル賢くて強引でもデキる人のほうが
尊敬されたりする風潮もどこかにあったような気がします。
私は、そんな世の中を創りあげたのは、
ほかならぬ消費者としての
私たち一人ひとりなのだと思っています。
今の日本社会を見渡してみると、
自分の利益に直接左右すること以外、
自分が主体的に真剣に関わることがほとんどなくなって、
当事者意識がものすごく薄くなっている気がしています。
私はここに環境問題を含め、
現代社会の多くの問題の原因が
潜んでいるのではないかと思っているのです。
現代社会は効率化のため分業が進んでいて、
一人ひとりがすべてのことを
直接チェックすることは不可能です。
それでも、
消費者一人ひとりにできることは
たくさんあると思います。
たとえば、食の問題。
自分が食に対して真剣にいいものを探し求めるなら、
食べる人にとっても、
作る人にとっても、
そして自然や環境にとっても
本当に安全で健康なものは、たくさんあります。
安ければいいという商品選択ではなくて、
生産者と顔が見える関係を作ったり、
有機栽培商品を購入したりして、
安全に対する対価をきちんと支払うという、
安心安全な暮らしを自分たちで作っていく努力が
消費者側にも必要なんだと思います。
このようにして、消費者が人任せにせず、
当事者意識をもって本当にいいものを求めて
主体的に取り組んで商品選択をしていけば、
ウソや不正のあるものは流通・購入されなくなって、
自然淘汰されていきます。
少しずつ、ゆっくりですが、
自分にとっても、周りにとっても、
そして自然や地球にとっても
住みやすい安全な環境へと
必ず変わっていくはずです。
それが本当の民主主義なのではないか
と私は思っています。
*上毛新聞2008年9月28日付け「オピニオン21」に
寄稿した記事をそのまま転載していますので、
若干、時事的にづれを感じるかもしれません。
(ヨシダヤスアキ)
>EntryTime at 2008/12/16 01:17<