2012.12.07(Fri)
自給自足を楽しむ2
農には根源的な歓びがある?農作業って、現代的な効率的考え方、つまり
肉体的、金銭的、時間的な視点でとらえると
とってもシンドイものになるんだと思う。
わが家では、薬や肥料を使わず、耕さない、
「自然農」で米や麦、大豆や野菜を育ててるけど、
その分、一般的な農法に比べて、
ものすごい労働力と時間が費やされる。
たとえば米づくりの場合、
田んぼの整地(畔や溝掘り、草刈りなど)から、
苗づくり、田植え、草取り、稲刈り…など
すべての作業が鎌や鍬、スコップを使った手作業となる。
わが家では、カミさんと2人で
一人が事務所で仕事をしながら、交代でやってるんだけど
たとえば田植えの場合、約1反の田んぼに手植えするのに
2人で1日延べ10時間作業したとしても
丸々1カ月はかかってしまう。
機械を使えば、1日もかからない作業なのに(笑)。
当然、肉体的にもものすごい大変だし
時間を考えたら、とてもじゃないけど
商売としてお米を売る気にはなれません。
それでも、農作業は楽しいのです!!
さまざまな苦労なんて
まったく関係なくなってしまう
歓びがそこにはあるから。
それは何か。
①自分で食べ物を育てる歓び
自分の精魂込めて、真剣に育てたお米や大豆を
収穫した達成感の喜びは本当にこの上ないもの。
さらに、おいしくて、何より安全な作物を食べることは
自給してみないとわからない幸せです。
②命を育む根源的な歓び
現代の仕事のほとんどは、
地球上にすでにある何か(命や物質)を使って、
別のものを生み出すという、
消費するための活動がほとんど。
でも、農作業は、命を育てている。
過去から未来永劫、ずっとずっと生命が持続できるよう
その場の環境を整えて、命を紡ぐための
手伝いをしているんじゃないかと思う。
その命の現場に立つことの歓びを
無意識に感じてるんじゃないかと。
③自然や大地とつながる歓び
上とリンクすることだけど、
自然の中に入って、土に触れ、太陽や風を感じ
植物や動物、虫たちとともに過ごす時間は
人間にとって根源的な癒しや歓びをもたらす気がする。
④体を動かす歓び
農作業をしていると
人間って、肉体労働することが
本能的な歓びになっていると実感する。
私も実際、運動のための運動ではなく、
農作業による運動を続けたせいで
体脂肪はみるみる落ち、体が引き締まり
適度な筋肉もついて、とても健康になった。
⑤多様な微生物と接し、取り込み健康に
体が健康になる一つの理由として
健康な土や植物に毎日触れることで
そこで暮らす元気な微生物を
自然に体内に取り込んでいることがある。
発酵食品や植物酵素づくりには
微生物たちの力が欠かせないけど
その菌はもともと土や植物にいたもの。
その菌たちを農作業していると
無意識に取り込んで健康になるのだ。
⑥デザインする歓び
実は農作業って、思考や想像力を養う。
田んぼを整地するときには、
どのように田をデザインするのがいいのか
太陽や風や土、水の状態から想像して
命が育みやすい環境を整えることが大切。
米づくりだって、コメ本来の命を活かし
いかに元気に育つかを常に考えて
その力を最大限引き出すための工夫が必要。
今年は初めての米づくりだったので
田植え時期や、サル・シカ・イノシシ対策
…などで大失敗。
来年はより良い環境づくりのため
さらなる知恵を絞りだそうと考え中。
というように、農作業は、
常にトライ&チャレンジの連続で
(しかも何度だって再挑戦できる)
これで終わりというものがない。
そう、本当の意味で
デザインをしている感じがする。
…以上のような6つの歓びが
農作業にはあるんじゃないかと思う。
そうでなければ、お年寄りの方々が
ここまで続けているなんてことは
ないんじゃないかと思います。
ただ辛い作業だけだとしたら続かない。
そこに歓びがあるからこそ
農を楽しんでいるんだと思います。
>EntryTime at 2012/12/07 12:07<